プロデュースってなんだろう
庭造りとトータルプロデュース。
最近、わが家の庭をお任せしている造園会社のスタッフさんと話をしました。
どうやら庭造りの業界でも最近ではコンペが盛んなようで、毎回数社から提案が出されるよう。
各社ともデザインの仕上がりに大きな差はなく、決定の理由としては結局予算とのこと。
現状のままでは勝ち残れないので、なにかもっとインパクトのある提案はできないだろうか。と思い悩んでいるようです。会社としてデザインから仕上がりまでのトータルな提案ができればコンペにも、もっと強くなれるのでは。と。
造園業というモノづくりの会社も大きくなるとコミュニケーションが取りにくくなるようです。
現場には、それぞれ職人さんがいて、職種もあって、そこには色んな考え方があって、若い社員が「新しいデザインだ!クオリティだ!」と声を上げても、意思統一をするのは難しいようです。
そこで感じたこと。庭造りは、単なる庭をつくるという発想ではなく、庭という空間を住居などの取り巻く空間とのデザインを合わせて居心地良いものにするという、トータルプロデュースということではないかと。
大工さんも考える。プロデュース。
私の家は古い部分もあり補修なども大工さんにお願いしています。
彼は個人で、案件と求められるクオリティに合わせて職人のプロジェクトチームを作り、自前のスケッチでお客様と意思の疎通を行いながら仕事にあった職人をチョイスする。というやり方でなかなかに新しいタイプの大工さんだな、と感心していたら、こんな提案をされました。
「109さんの家は、古い箇所を大事にしているところもあって、メンテナンスが頻繁に必要でしょう?
だったら、数年先までの材木をまとめて仕入れておきましょう。そうすれば相場変動でも、発注の度に仕入れないですみますし、なによりウチの倉庫にねかせておけば、乾燥した最良の材木を提供できますから。長い目で考えるとお得だと思いますが。」と。
これって長期契約に持ち込むプレゼンテーションですよね(笑)。
腕はいい、スケッチはうまい、デザインは勉強する、材料の流通や勘定もできる、まさにTED(Technology・Entertainment・Design※前回コラムを参照してくださいね)的な大工さんでしたね。
この大工さんの提案も、プロデュースという視点なのではないかと思うのです。
プロデュースすること。
私たちのチームは、様々なモノ、コトをプロデュースするという視点を大切に考えています。
即物的なモノを商品としては持たず、常にその視点を考え、生業にしています。
前段の造園業も、大工さんも プロデュースという言葉は使わなくても、その概念はまさに、活かされてこようとしていると感じます。
「プロデュースする」ということは、それぞれの職種やカテゴリーでの仕事において、
相手を(お客様だったり、そのさらに先のお客様)豊かにする情報だったり、幸福を生む内容だったり、先の視点をみたホスピタリティなのではないかと感じるのです。
そう考えると、私たちの仕事は、様々な人を豊かで幸せにすることなのだと思います。
また、新しいビジネスが、新しい幸せを生むように、新しい考えをめぐらせよう。。
そんなコトを感じるこの頃です。
(109)
109さんプロフィール
広告、クリエイティブに携わって数十年。 現代美術を主とするアーティストであり、グラフィックデザイン、クリエイティブディレクター、キュレーターなど、各種プロモーションの プランナーとして企業広告、販売促進企画に携わり活動。