相手を快適にするサービスとは、何か。それもまたプロデュースするという点の大事なところ。
異業種のサービスに学ぶこと。
その人によって、好みの照明セッティングも違うように、生活の楽しみ方も進化しています。
たとえば建築の話。
通常の建築はインテリアデザイナー、施工する大工さん、ハウスメーカーと3組で行われます。
最近はそのチームにライフスタイルのカウンセラーを加えて4組で仕事を進めるようです。
そういう方がまず施主様の日常生活を聞きこむのですね。
施主様家族の方に対して、帰宅の際にまずどこへ向かうのか、どれくらいでお風呂に入って、ごはんを食べるのか、その時間と距離は、 はたしてそれは快適なのかどうか?そういうことを全員にヒヤリングしていきます。
そこから施工の大工さんたちと施工の打ち合せを重ねていく。 前回お話ししたように 大工さんも作るだけでなく、生活者により近い目線で提案し、クオリティも高くなっていきます。
よく言われるように、住んでから不具合が出てくる家じゃ仕方ない。家は3件建てなければなんて言っている時代でもないですから。
せっかく建てるのに不具合がある家っていやじゃないですか。
生活に関する聞き込みは、デザイン以前に詰めているようです。
そうすることで、施主様のライフスタイルにふさわしいデザインがおこせるのですね。
まあ、これもライフスタイルのプロデュースといえるでしょう。
関連する知識を提供することでのサービスとは。
次にハウスメーカーは毎月様子を伺いに来てくれます。
先日、造園業者に庭造りを依頼していることを伝えると、ぜひ業者さんと話をさせてくれというのですね。
つまり家とのトータルなイメージで庭のデザインをしていただきたいということのようです。
ハウスメーカーの仕事でもないのに、無償でいいからお願いしますと。
思わず「君はえらいいねえ」って言いましたよ(笑)。
私の家は10年前に建てているわけですが、 ふと、私たちの仕事って、そこまでのフォローをしていることは少ないのではないだろうか・・と。
10年前というと液晶モニターが出だした頃で、そのハウスメーカーからこんな提案があったことを思い出します。
これから大型の液晶モニターが主流になって来るでしょうが、置き場所はどこにしますか?と聞かれたんですね。
そんなことまだわからないよと話したのですが、 「設置する予定があればその場所を補強します。そうすればこの先余計な出費はいらないでしょ」、ということでした。
家電(テレビ)は先々どうなるかという知識もあっての提案ですね。
実際その場所に大型モニターが設置されることになりました。彼の先見の明は正しかったということでしょう。
家というモノは、安全性、快適性、コストパフォーマンスなどの視点からも、サービスはしっかりしていないといけないと思います。
インテリアデザイナー、大工さん、ハウスメーカー、カウンセラーの4組体制で造り上げて、その後もしっかり アフターサービスするという事を、私たちの仕事や他の業種の仕事に置き換えた時、見習うべき点がいくつもあるように思いました。
相手を快適にするサービスとは、何か。それもまたプロデュースするという点の大事なところではないでしょうか。
(109)
109さんプロフィール
広告、クリエイティブに携わって数十年。 現代美術を主とするアーティストであり、グラフィックデザイン、クリエイティブディレクター、キュレーターなど、各種プロモーションの プランナーとして企業広告、販売促進企画に携わり活動。