未来を見据えて「今できること」を、日々考えていくことが必要
1984~技術は変わった。意識は変わったか。
コンピュータ以前のデザインテクニックについて考えました。
デザインがアナログからデジタルに変換しだした1980年代。
それまでの、写植、版下が主流の新聞広告はやがて大きな転換期を迎える事になります。
僕もまさにそんな巨大なうねりの中で様々な販促プランを考えておりました。
紙面広告や、電波メディア等の職人の在り方も変化せざるを得ない状況にもなりました。
当時は東京のプロダクションと連絡を取り合いながら制作をしていたので、東京と福井のクオリティに関する温度差も感じていました。
ところが、物づくりやデザインという仕事はコンピュータによって表現の幅・スピードに中央・地方という差をなくしていったのです。
ただ、表現に関する意識的な格差がなくなったかというとそれは違います。
むしろ、情報やアイデアにどん欲だった80年代以前の方がいまよりクリエイティブ力は強かったのかも知れません。
現在、あの頃むさぼり読んでいた雑誌の内容などは、webにいくらでもあり、世界の情報入手は思うままになってしまいましたから。
2015~クリエイティブへの欲求は健在だろうか。
先端や情報を追い続け、販売促進を考え、広告をつくりまくっていた時代。
そして、あの頃とはまったく違う環境の中で、僕たちはどうやって仕事やコミュニケーションと向き合っていけばいいのか。
通信、作業、様々なスピードが速くなった分、世界に追いついているのだろうか。
未来を見据えて「今できること」を、日々考えていくことが必要だと感じます。
最近、過去~現在への反省も含めて、そんなことを思い出させてくれる貴重な展示会に出会いました。
そこには僕が懸命に考えていた、販促・広告・グラフィックデザインたちが数多くありました。
自らプロデュースしていた作品もあり、表現への想いはもちろん、表現技術についても、あらためて考えさせられた貴重なひと時でした。
(109)
109さんプロフィール
広告、クリエイティブに携わって数十年。 現代美術を主とするアーティストであり、グラフィックデザイン、クリエイティブディレクター、キュレーターなど、各種プロモーションの プランナーとして企業広告、販売促進企画に携わり活動。