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ティーツゥーのコラム
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思い込みは恐ろしい。「月曜日! 昼下がりのデート」

2016.03.23

広告の仕事をしていたせいか、20代後半ごろから首都圏を中心に、各地にある美術館を巡っていた。30代中頃、商業施設の勉強で岡山に行ったついでに、倉敷の大原美術館に寄りました。美観地区にある美術館は、周辺の風景に溶け込み嬉しくなったことを鮮明に覚えています。90分程の観覧中で素晴らしい出合いが!エル・グレコの「受胎告知」です。個別の展示室でなく他の作品と並んで展示されていたため、それほど大きく感じませんでした。他作品を圧する輝きを放っており文字通り感動ものです。その後、二度程、「受胎告知」の聖母マリア様に逢うためにだけ倉敷に出かけました。展示してある一作品を目的に美術館に行くことは近場の美術館では経験していますが、時間と費用の関係で、他にはありませんでした。

ルネッサンスの巨匠、オランダの巨匠、印象派、エコールド・パリ等々を取り上げた東京での展覧会は、祝祭日は、無論のこと平日でも、入口から出口まで列に並んで観覧することがほとんどです。比較的空いていると思われる平日の午前中から昼過ぎまでを狙っても、おば様族やお年寄りで混んでいるのが実態です。
2007年1月開館の“国立新美術館”は、設計が黒川紀章さん(ちなみに、黒川さんが設計した最初の美術館は、私が住んでいる近くの埼玉近代美術館で、最後の設計美術館が国立新美術館)で、この美術館の特徴は、収蔵品を持たないで、展覧会・企画展の開催と美術情報収集発表・教育機能です。8年間の展覧会等で多くの美術ファンを集めており、残念ながら、私は8年間、自分の思い込みのため、足を運んでいなかった。

2016年1月20日(水)~4月4日(月)国立新美術館 
この期間での展覧会 『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』 が開催されている。わざわざ、倉敷から、私に逢いに来てくれる。今回を逃すといつ逢えるのかわからない。せっかく来てくれるのだから、彼女とは、ゆったりとした環境の中で、ゆっくりお話しをしたい。だけど~ ……。 4月4日(月)。何ぃ~!再度会期を見直して休館日を調べたら、なんと!なんと! 国立新美術館の休館日は火曜日だった。国公立の施設は(美術館、博物館、図書館他)月曜日休館と思い込んでおり ~あなたもそう思っていません?~ “おぬし、なかなかやるな~”と思わず一人でニンマリ。
2月の月曜昼下がり、行ってきました。入口直ぐの個別展示、愛しき「受胎告知」。広々した空間。照明具合も効果的で、記憶にある作品よりもず~っと大きく、素晴らしく、彼女も、前にも増して一段と秀麗に、崇高に感じられた。出口まで行って、また戻り、別れ難き気持ちを押さえて会場の外に。ガラス越しに庭園の“みどり”が目に入り、暫く椅子に座り至福の時間を思い起こしていました。さすが、黒川紀章さん。 

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